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2019年4月27日

『木製螺旋階段とパオ』 見学会&パーティーのご案内

カテゴリー: おもしろ仕事

東京は東中野、「PAO」という名のビルの9階で営業している、

バー&多目的イベントスペース「驢馬駱駝(ろまらくだ)」内におきまして、

木製螺旋階段とパオを製作させて頂きました。

 

なんのこっちゃ。

色々と説明が必要となる仕事ですが、ここでは割愛します。

 

曲げ木技術を駆使し、大工が普段から慣れ親しむ杉、桧材を用いた、ダイナミックな吹抜空間が出来ました。

ぜひ広く皆さまに現物を見ていただきたい所存であります。

 

つきましては、『見学会&パーティー』を催します。

 

日時:2019年5月11日(土)

時間:13:00~17:00 自由見学会

     17:00~ 羊の丸焼きパーティー (飲み食べ放題 会費5000円)

場所:東京都中野区東中野2-25-6 PAOCOMPOUND 9F  

(JR東中野駅すぐ近く、ファミリーマートの隣のビル)

 

見学会、パーティー共に予約は不要ですが、ご興味のある方は連絡をいただけると嬉しいです。

 

お問合わせは

shimane@muraken5.com  (担当:嶋根)

までお願いします。

 

 

2019年3月23日

アール

カテゴリー: おもしろ仕事

かれこれ3ヶ月ほど、木を曲げるための型や治具を作り、木を熱しては曲げ、

くっつけて接着し、また丸く削りだす。

 

という鍛錬を日々繰り返していると、新たな感覚が芽生えてきました。

 

R(アール)が読めるようになってきたのです。

 

今までは半径R=1000mmといっても、半径の直線を想像して見ているだけで、

曲線そのものは見ていなかったこと、知ったかぶりしていたことに気がつきました。

 

『木を見て、森を見ず』とはまさにこのことです….いや違うな。

 

 

曲線Rに囚われた私は、世界が曲線に変わりました。

 

高速道路でR=400mといったら結構な急カーブだな。と遠心力を体感し、

 

土いじりをしては、冬眠から目覚めたミミズがR=300mmに見えました。

 

 

手すりの曲げ加工をしているとき、半径の違う曲線と曲線を滑らかにつなぐには、

どうしたら良いかを考えながら首都高を運転していると、直進すべき分岐を間違え、

大橋ジャンクションの方に吸い込まれていってしまいました。

 

大橋ジャンクションはクルクルと廻されるものの、ハンドルは切らなくてもなめらかに進んでいきます。

 

なるほど、手すりの接点を大橋ジャンクションだと思えばいいのだな。

と思ったけど、手すりの何が大橋ジャンクションなのか分かりません。

 

そもそも道を間違えているので、高速を降りて、Googleに相談しました。

 

どうやら道路や線路の曲線にはクロソイド曲線というものが使われていることを知りました。

 

しかし、クロソイド曲線が何なのか理解出来ず、木をクロソイド曲げ加工できるとも思えなかったので、結局はカクンと角をつくり、手すりをそれとなく繋げました。

 

思考はどんどん曲がっていきますが、現場はちゃんと前へと進んでいます。

2019年2月28日

スプリングバック

木を型にはめたまま、しばらく乾燥させた後に型から取り外すと曲がった形態の木が出現しました。

曲げた木を型から外すと、木には元の形に戻ろうとするバネのような力が働き、曲げが少し戻ってしまいます。

この現象を曲木業界では“スプリングバック”と呼んでいるそうです。

実際に欲しい理想の曲線から、このスプリングバックで跳ね返る分を見越して、あらかじめ過剰に曲げたりして、調整しなければいけません。

しかし、相手は個性派軍団である自然木です。

型通りにスムーズに曲がってくれる木もあれば、ビンビンと跳ね返る反抗的な木もありました。

それを画一的に扱おうとすると、既存のルールには納まりきらず、はみ出てしまうものが出てくる。

という学校教育問題に直面してしまいました。

しかし、私は教育者ではなかったし、今この問題に直面する必要もありませんでした。

私にとって都合の良いように、強引に木を曲げて、一律に同じようにクランプで固定したところ、

振り向きざまにクランプが外れ、強烈なスプリングバックアッパーカットをアゴに喰らいました。

はい、わかりました。あなたの個性を尊重しましょう。

曲木達は全体の秩序は乱さない程度の自由を与えて固定されました。

 

Spring will soon be back

もうすぐ春ですね。

2019年2月15日

型にはまる

カテゴリー: おもしろ仕事

熱を加えることで木は良く曲がるようになることは分かりました。

 

しかし、曲げただけでは、すぐに元通りに戻ってしまいます。

 

都合よく曲がった状態を保つためには、型にはめる必要があります。

その状態で冷えて、乾燥させることで木は曲がった形状が維持されます。

 

なにより“型”が重要です。

 

型破りな男になるには、まずは一度型にはまらなくてはいけません。

ローを知らなければ、アウトローも成立しない。

人間は秩序と無秩序….はい、はい。

 

なにより“型”が重要です。

 

型無流の嶋根大工は端材を寄せ集め、いい加減な型にはめようとしていると、

 

“そんな型じゃダメだ。強固で正確な型でないと、そこから得られる成果もいい加減なものになってしまうし、何も蓄積されないじゃないか。”

 

という指摘を村上親方から頂きました。

 

そう、ここは村上建築工房。

大工品質、大工プライド

no accuracy no gain

今年のスローガンである“端材を活かす”ってこういうことではありません。

まるで何も活かせていない。

 

その後、出来るだけ正確な型を製作し、試行錯誤を繰り返していると、様々な発見が得られました。

 

“鉄は熱いうちに打て。木は熱いうちに曲げろ。生コンは90分以内に打て”

 

2019年2月5日

村上製作所

カテゴリー: おもしろ仕事

木は薄くスライスすれば、ある程度は曲げることが出来ます。

しかし、それなりのものを曲げるには知恵と技術が必要となります。

 

ちょうどその時、木を大胆に曲げようと企む大工がいました。

村上親方です。

 

“ウィンザーチェア”という曲木加工をしてつくる椅子作りの研究から帰ってきて、

こう言いました。

 

“木は曲がる”と。

 

試作として、雨樋を利用した、小さな温水加熱システムを開発しました。

お湯で温めることで、小さな木は曲げることが出来ました。

 

しかし、村上製作所はもっと大胆不敵に木を曲げようと企んでいました。

 

川崎重工と共同開発し、ついに、建築のキーデバイスである4m材を曲げることが可能となる、サーモスタット付きスチーム加熱システムを完成させました。

 

作業場の外に設置され、上田板金さんによる、端材板金ブリコラージュ仕上げが施されました。

 

“俺はこういうセンスとかわかんね~”と言いながらも、

余った材料を組み合わせた、ツートンカラーの配色と蓋の裾口からチラッと魅せる挿色の赤がなんとも洒落ています。

 

この装置は下部の水槽に貯めた水を加熱沸騰させ、発生する蒸気で木を蒸します。

室温は限りなく100度まで上昇します。

そして、装置から漏れ出す蒸気でお肌はプルンプルン。

 

高温で蒸すことによって、木は自由な形に曲げることが可能となりました。

 

そう、木は曲がるのです。

 

2019年1月31日

雑木狩り

カテゴリー: おもしろ仕事

螺旋曲線は円環を突き抜け、天界へと上昇します。

曲がった階段には曲がった屋根を被せましょう。

急迫した卵のような、黒柳徹子のたまねぎ頭のような、蒸したてアツアツの肉まんのような、柔らかな曲線の屋根を。

その時、創造は想像に逆戻りしました….プーッ。

自然物である樹木はクネクネ、ゴツゴツ、デコボコしながら天へと伸び育ち、
こちら人間の都合よく曲がっていたり、まっすぐ伸びてはいません。

それでも、出来るだけ好都合な木を求めて、
鈴木大工おススメの秋色深まる山へと雑木狩りへ出かけました。

そして、山に入って10分後、こう確信しました。

“まっすぐな木など存在しない。”と

遠くからみてまっすぐだと思い、近づいてみると、曲がりくねっていたり、
下から見上げて結構まっすぐだと思って、切り倒してみると、これまた全然まっすぐではない。

自分が立っている場所が不安定かつ急勾配で、“まっすぐ”を喪失している状態です。

しかし、不思議なもので半日も山のなかにいると、混沌とした森の中から“まっすぐらしきもの”が見えてきました。

そして、荒くれた宮本武蔵のように、手当たり次第それらしき木を切り倒し、山を縦走した後、倒木をみて、すぐにこう後悔しました。

 

“山の木は切るより、運ぶ方がはるかに大変である。”と

 

 

〔嶋根〕