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2019年2月15日

型にはまる

カテゴリー: おもしろ仕事

熱を加えることで木は良く曲がるようになることは分かりました。

 

しかし、曲げただけでは、すぐに元通りに戻ってしまいます。

 

都合よく曲がった状態を保つためには、型にはめる必要があります。

その状態で冷えて、乾燥させることで木は曲がった形状が維持されます。

 

なにより“型”が重要です。

 

型破りな男になるには、まずは一度型にはまらなくてはいけません。

ローを知らなければ、アウトローも成立しない。

人間は秩序と無秩序….はい、はい。

 

なにより“型”が重要です。

 

型無流の嶋根大工は端材を寄せ集め、いい加減な型にはめようとしていると、

 

“そんな型じゃダメだ。強固で正確な型でないと、そこから得られる成果もいい加減なものになってしまうし、何も蓄積されないじゃないか。”

 

という指摘を村上親方から頂きました。

 

そう、ここは村上建築工房。

大工品質、大工プライド

no accuracy no gain

今年のスローガンである“端材を活かす”ってこういうことではありません。

まるで何も活かせていない。

 

その後、出来るだけ正確な型を製作し、試行錯誤を繰り返していると、様々な発見が得られました。

 

“鉄は熱いうちに打て。木は熱いうちに曲げろ。生コンは90分以内に打て”

 

2019年2月5日

村上製作所

カテゴリー: おもしろ仕事

木は薄くスライスすれば、ある程度は曲げることが出来ます。

しかし、それなりのものを曲げるには知恵と技術が必要となります。

 

ちょうどその時、木を大胆に曲げようと企む大工がいました。

村上親方です。

 

“ウィンザーチェア”という曲木加工をしてつくる椅子作りの研究から帰ってきて、

こう言いました。

 

“木は曲がる”と。

 

試作として、雨樋を利用した、小さな温水加熱システムを開発しました。

お湯で温めることで、小さな木は曲げることが出来ました。

 

しかし、村上製作所はもっと大胆不敵に木を曲げようと企んでいました。

 

川崎重工と共同開発し、ついに、建築のキーデバイスである4m材を曲げることが可能となる、サーモスタット付きスチーム加熱システムを完成させました。

 

作業場の外に設置され、上田板金さんによる、端材板金ブリコラージュ仕上げが施されました。

 

“俺はこういうセンスとかわかんね~”と言いながらも、

余った材料を組み合わせた、ツートンカラーの配色と蓋の裾口からチラッと魅せる挿色の赤がなんとも洒落ています。

 

この装置は下部の水槽に貯めた水を加熱沸騰させ、発生する蒸気で木を蒸します。

室温は限りなく100度まで上昇します。

そして、装置から漏れ出す蒸気でお肌はプルンプルン。

 

高温で蒸すことによって、木は自由な形に曲げることが可能となりました。

 

そう、木は曲がるのです。

 

2019年1月31日

雑木狩り

カテゴリー: おもしろ仕事

螺旋曲線は円環を突き抜け、天界へと上昇します。

曲がった階段には曲がった屋根を被せましょう。

急迫した卵のような、黒柳徹子のたまねぎ頭のような、蒸したてアツアツの肉まんのような、柔らかな曲線の屋根を。

その時、創造は想像に逆戻りしました….プーッ。

自然物である樹木はクネクネ、ゴツゴツ、デコボコしながら天へと伸び育ち、
こちら人間の都合よく曲がっていたり、まっすぐ伸びてはいません。

それでも、出来るだけ好都合な木を求めて、
鈴木大工おススメの秋色深まる山へと雑木狩りへ出かけました。

そして、山に入って10分後、こう確信しました。

“まっすぐな木など存在しない。”と

遠くからみてまっすぐだと思い、近づいてみると、曲がりくねっていたり、
下から見上げて結構まっすぐだと思って、切り倒してみると、これまた全然まっすぐではない。

自分が立っている場所が不安定かつ急勾配で、“まっすぐ”を喪失している状態です。

しかし、不思議なもので半日も山のなかにいると、混沌とした森の中から“まっすぐらしきもの”が見えてきました。

そして、荒くれた宮本武蔵のように、手当たり次第それらしき木を切り倒し、山を縦走した後、倒木をみて、すぐにこう後悔しました。

 

“山の木は切るより、運ぶ方がはるかに大変である。”と

 

 

〔嶋根〕

2019年1月26日

こんな感じ

カテゴリー: おもしろ仕事

水平、垂直で出来た物体であれば、寸法が分かればある程度の大きさ、ボリュームまでは想像できます。

しかし、回転しながら上昇する螺旋曲線は長いのか短いのか、大小すら全く想像ができませんでした。

小さな模型を作ってもピンときません。

そうだ、私は大工だ。原寸で作ったらええやないか。

なんとなく書いてみた不確かな図面を元に、5段分の螺旋階段をベニヤ板で作ってみました。

なるほど〜こんな感じか。

この“こんな感じ”をあらかじめ掴むことは、とても大事だと思っています。

これを現場に持って行くと、空想だったイメージが現実のものになります。

その時、想像は創造に変わります…..プーッ。

ここからあそこまで昇るのか。

螺旋曲線はどう見えるのが良いか?

途中に踊り場があった方がいいんじゃないか?

これは昇りやすいのか?安全なのか?
手すりはどうする?

誰が、どういう状態で利用するのか?

材料はどうする?
木がこんなに曲がるのか?
強度はどうなんだ?

どのように、どこでつくる?

出来た物はどうやって搬入する?
ここは地上30mだぞ。
ロープで引っ張りあげるか?
いやいや、それはないだろう。

エレベーターに4m材は入らないぞ。
外階段から手運びだ。

これは出来たら、きっと美しい。

イメージと問題点が一挙に浮かび上がりました。

次は、1個ずつ製作の具現化と問題点の解決策を検討していきます。

〔嶋根〕
2019年1月24日

まっすぐ、正確に

カテゴリー: おもしろ仕事

木にまっすぐ、深い穴をあけようとしていたとき、

なかなか上手くはいかず、近くにいた森田大工にどうしたらよいか尋ねました。

すると森田さんは、

 

“そういう時はよー、手元を見るんじゃなくて、体を起こして遠くを見るんだよ”と言いました。

 

“あっ森田さん、もしかして今、何か良い事言いました?”

 

“おうっ!”

 

その通りにやってみると、まっすぐ、正確な穴があけられました。

 

反っていたり、曲がっていたり、癖のある木を工夫して、まっすぐ、正確に扱うのが多くの大工仕事であります。

 

しかし、反っていたり、曲がっていたり、癖があるのは人間も同じです。

 

墨つぼでパチンとまっすぐな基準線を描き、それに合わせて曲がりや癖を矯正します。

 

“まっすぐ”な基準が無いと建物はなかなか建ちません。

 

まっすぐではない、曲線や円も、ある1点からの等しい距離の直線が基準になります。

 

そうして出来た緩やかな曲線が上昇し始めました。

 

螺旋の誕生です。

 

赤ちゃんは母親のお腹の中から出てくるとき、狭い産道を通るため体を小さくし、螺旋回転運動しながら出てきます。

DNAも螺旋構造。おしっこも螺旋噴射。

 

螺旋は生命の原点

 

2019年螺旋の旅

 

ということで、木製螺旋階段の製作が始まります。

 

〔嶋根〕

2018年9月24日

化粧品展示ブース

ちょっと前に 化粧品を展示する仮設のブースを作った時のお話。

 

普通 化粧品展示ブースといえば きれいなお姉さんの拡大写真と 大

理石調シートとか 木目調シートで 高級感を かもし出すパターンが一般的。

 

しかし今回のブースの コンセプトは「本物感。」

 

本物とは何ぞや?

 

デザイナー 藤野氏 曰く。

「作り手の顔が見えてこなければならない。」と

「大工さんも千葉だし 会場も ディズニーランド隣のヒルトン東京ベイで千葉だから

千葉の杉でつくろうよ。」と

ちょっと間を 省いていますが 大体こんな感じで

千葉の杉で 仮設の展示ブースを作る ということになった。

 

 

仮設の展示ブースといえども 「本物」ですから 時間かかります。

展示ブースの設置時間は 10時間程度しかない。

「本物ですからもう少し工期を伸ばして・・・。」と言っても

もちろん延ばしてもらえるわけはありません。

 

例えて言うなら 10時間で 「本物」の店舗 を作る様なもの

 

ガチンコで行っても 終わるわけないので 作業場で仮組します。

一度組み立てそれを 分解して会場に運ぶ作戦です。

絶対必要作業。

 

 

棚に埋め込まれる照明も作業場で 点灯。

本番で 「ダウンライトがつきません。」と言っても絶対 許してもらえないので

絶対必要作業。

 

塗装も完ぺきに。

会場の絨毯を塗料で汚したら ほんとにやばいので

絶対必要作業。

ここまでやれば

後は 現場で組み立てるのみ。

 

 

現場では ちょっと遅れた程度で スムーズにいって やれやれです。

 

お姉さんの拡大写真なし 化粧シートなしの 杉板外壁張りと杉の棚板の展示ブース。

高級感が出たかといえば 見る人によるでしょうけど

本物感は ビシビシ出てましたよ!藤野さん。

 

 

実はこの展示ブースには 設計事務所と施工会社の会社案内も

棚に 置いてくれるという話があったので

設計の藤野氏に

「じゃ 会社案内カッコよく作り替えようか」と相談したら

「だめですよ。村上さんたちのダサい会社案内がいいんですよ。

農家の野菜作りましたぁ と同じで 作り手の顔が見えればいいんです。」と言われちまった。

 

※ブースデザイン アトリエハル 藤野敬史