かれこれ3ヶ月ほど、木を曲げるための型や治具を作り、木を熱しては曲げ、
くっつけて接着し、また丸く削りだす。
という鍛錬を日々繰り返していると、新たな感覚が芽生えてきました。
R(アール)が読めるようになってきたのです。
今までは半径R=1000mmといっても、半径の直線を想像して見ているだけで、
曲線そのものは見ていなかったこと、知ったかぶりしていたことに気がつきました。
『木を見て、森を見ず』とはまさにこのことです….いや違うな。
曲線Rに囚われた私は、世界が曲線に変わりました。
高速道路でR=400mといったら結構な急カーブだな。と遠心力を体感し、
土いじりをしては、冬眠から目覚めたミミズがR=300mmに見えました。
手すりの曲げ加工をしているとき、半径の違う曲線と曲線を滑らかにつなぐには、
どうしたら良いかを考えながら首都高を運転していると、直進すべき分岐を間違え、
大橋ジャンクションの方に吸い込まれていってしまいました。
大橋ジャンクションはクルクルと廻されるものの、ハンドルは切らなくてもなめらかに進んでいきます。
なるほど、手すりの接点を大橋ジャンクションだと思えばいいのだな。
と思ったけど、手すりの何が大橋ジャンクションなのか分かりません。
そもそも道を間違えているので、高速を降りて、Googleに相談しました。
どうやら道路や線路の曲線にはクロソイド曲線というものが使われていることを知りました。
しかし、クロソイド曲線が何なのか理解出来ず、木をクロソイド曲げ加工できるとも思えなかったので、結局はカクンと角をつくり、手すりをそれとなく繋げました。
思考はどんどん曲がっていきますが、現場はちゃんと前へと進んでいます。