「あの野郎、一分の隙も無ぇ」
こんなセリフ、時代劇やチャンバラ系の映画などが好きな方なら一度は耳にした事があると思います。
「一分の隙も無い」というと、まぁほとんど隙が無いんだろうな。。。なんて皆さん思われるかもしれませんが、1959年に尺貫法が禁止されて久しい今「一分」とは正確にはどれくらいの大きさなのか、ほとんどの方は実はご存知無いのではないか、と思います。尺貫法が禁止されているという事も知らない人がほとんどでしょう。
しかし我々大工等の職人の間では永六輔さんの「尺貫法復権運動」の健闘の甲斐あってか尺貫法の使用が黙認されており、弊社のローカルベテラン大工などは寸法をメートル法で言うと 「ミリじゃ分かんねぇよぉ」 などとノタマウ有様です。
実際一分がどれ程の大きさかと言うと、3.03mmです。
一寸がその10倍で30.3mm、一尺がそのまた10倍で303mmです。
大工さんならみんな知ってます。
さて、冒頭で書いた「一分の隙もねえ」という表現ですが、「なんか凄そう」とは思いますが、実際はどうでしょうか?
実は我々大工も現場で同じようなセリフをたまに言います。隙間がある部分を指して、
「○○の隙がある」などと言うのですが、もし、ピタリとくっついているべき部分に、
「一分」の隙があったらどうか?というと。。。
「全然ダメ」 なのです。
勿論許容される部分もありますが、まぁほぼダメ、下手すりゃ「下手糞」なんて言われちゃうかもしれません。
なので、強そうな侍に「一分の隙も無ぇ」なんて言ってても、大工が聞いても「なんか凄そう、強そう」なんて思いません。「その程度か」です。「大したこと無ぇじゃん」なのです。
それにしても一昔前までは日本で全ての人が使っていた伝統的な単位を、国の政策によって現代人は知りもしないなんて、なんだか不思議なものです。
さて、今年も日本伝統の尺貫法を駆使して「一分の隙も無い建築」を作っていきたいと思います。宜しくお願いします。( なんか凄そう と思って頂けたら幸いです)
(大工い)
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