木は薄くスライスすれば、ある程度は曲げることが出来ます。
しかし、それなりのものを曲げるには知恵と技術が必要となります。
ちょうどその時、木を大胆に曲げようと企む大工がいました。
村上親方です。
“ウィンザーチェア”という曲木加工をしてつくる椅子作りの研究から帰ってきて、
こう言いました。
“木は曲がる”と。
試作として、雨樋を利用した、小さな温水加熱システムを開発しました。
お湯で温めることで、小さな木は曲げることが出来ました。
しかし、村上製作所はもっと大胆不敵に木を曲げようと企んでいました。
川崎重工と共同開発し、ついに、建築のキーデバイスである4m材を曲げることが可能となる、サーモスタット付きスチーム加熱システムを完成させました。
作業場の外に設置され、上田板金さんによる、端材板金ブリコラージュ仕上げが施されました。
“俺はこういうセンスとかわかんね~”と言いながらも、
余った材料を組み合わせた、ツートンカラーの配色と蓋の裾口からチラッと魅せる挿色の赤がなんとも洒落ています。
この装置は下部の水槽に貯めた水を加熱沸騰させ、発生する蒸気で木を蒸します。
室温は限りなく100度まで上昇します。
そして、装置から漏れ出す蒸気でお肌はプルンプルン。
高温で蒸すことによって、木は自由な形に曲げることが可能となりました。
そう、木は曲がるのです。