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2018年1月30日

本間邸のテーブル

 

本間さんの家で 使われていたこのテーブルは お世辞にも勝手が良いとは言えないものでした。

このテーブルと出会ったのは8年ぐらい前で 「なんて使いにくいテーブルなんだあ」と 衝撃の出会い だったのを覚えています。

テーブルの高さは 普通のテーブルより10センチも高く 引き出しが邪魔で膝が テーブルの下に入らず、 テーブルの脚には ツナギの横棒があるので 椅子の脚が 奥まで入らないという使い難さ。

でもその時 「ぼくはこのテーブルをかっこよく直すことができる。」と 秘かに思っていました。

でも今はまだその時ではない「時が来るまで 捨てられないでね。」と心の中で祈っていたのです。

よく 捨てられずに残っていたなあ。 ありがとう。もし今回訪問して テーブルが 新しいものに 変っていたとしたら 後悔と罪悪感で苦しんだろうと思います。

僕に修理されるのを 待っていたような家具。完成形は8年前から頭の中にあるぜ。

こういう古い家具は きちんとした木組みの仕事で 作られている場合が多いので 直す方針さえ決まってしまえば 結構スムーズに進みます。

 

下地の補強。引き出しは 真ん中の4個だけでいいだろう。

 

天板と下地が 蟻桟(ありざん)という 工法で 作られていたので きれいに ばらすことができました。 天板の真ん中に木を足して幅を広げようという発想も 蟻桟だから。

天板の裏側。アリザンの言う木組みで仕事がしてある。

ボンドや釘で 接合してあると きれいにばらすことができないので 直すのが 難しくなってしまいます。

テーブルの幅を広げて 引き出しの高さを低くして膝が入るようにし、テーブルの脚のつなぎを切って 椅子が奥まで入るようにしてみました。

また 何十年か後に 修理できるように 直しておきました。

 

 

 

 

 

2018年1月22日

キッチン改修の完成見学会

この度 お施主さんのご厚意により改修したキッチンを 見学させていただけることになりました。本間さんありがとう。

日時 2018年 2月4日(日)10:00~15:00

場所 南房総市本織1162 南房総ほんまる農園

また タイル作家である 樋口まなみさんに タイルを焼いてもらっていますので ぜひ見に来てください。

南房総市の農家である 本間さんとは以前、お風呂やトイレ等の水回りの工事をさせてもらいました。 その時 「今度は キッチンをお願いしますね」と言われて早8年。

この改修工事は 昔ながらの土間キッチンを 暖かくて明るい使い勝手のよいものに変えることがミッションです。明るくするために 部屋の高い位置に窓を作っったり 家族5人としては少し狭かったので キッチン部分を 少し増築しています。

また「新築そっくり」 に改修するという考えで工事してるのではなく この家の歴史や記憶を大切に 柱の切り欠きなどは 埋木をし、腐った柱は根継ぎをして 修理しています。

そんな仕事の1つ1つが この建物への愛着となっていってほしいと思っています。

2018年1月17日

金谷の木塀修理2

カテゴリー: 現場だより

木塀を 同じように 再現するのは そんなに難しいことでは ないんです。 同じように 作ればいいだけなんで。

問題は 房州石

房州石というのは現在は 切り出していないので 新しい 房州石というのは ないのです。

今回も 木塀の下に 房州石の延べ石が三段積んであるのですが 風化が激しいものは この機会に 取り替えたいと思っていました。

どうしようかと 思案していたら、 石屋さんが「あるよ」と。

金谷の石屋さんは 古い家や 塀が解体されると 房州石を もらって 置き場にためてあるそうです。

房州の延べ石の寸法は昔からの規格があるので 特に切ったり はつったりしなくても  使えるそうです。

きれいに納まりました。規格化 ってすばらしい! 今の建材で 100年前の建築にぴたりと合うものはちょっと頭に浮かびません。

目地にモルタルやコンクリートが使ってあると 再利用しにくいということで 今回も それらは使わずに 空積みとしました。

2018年1月11日

ジャーニーマン

カテゴリー: 建築いろいろ

大工仲間の 宮内さんの現場に ドイツ人の旅職人(ジャーニーマン)が働きに来ていると聞きつけ 遊びに行った。

ジャーニーマンとは 大工修行中の旅職人のこと。ドイツは 職人の教育制度であるマイスター制度が しっかりと確立していて マイスター(親方)になるために 厳しいカリキュラムをこなさなければなりません。その一つが 世界中の建設現場を渡り歩く ジャーニーマンとしての修行。これは必修というわけではなく 好きな人が選択して三年と一日旅をするのだ。大工になるために このジャーニーマンになる若者は最近すごく減って 1000人に1人くらいしか選択しないそうです。さらに 日本まで来るのはごく僅かなので ジャーニーマンに出会える確率は かなりレアなことなのです。

ジャーニーマンの 服装は ドイツの伝統的な大工職人の服で スイスの職人にフルオーダーします。チョッキのボタンの8個は 8時間働くことを意味し、上着のボタンの6個は 週に6日働くことを意味する。上着には 40個もポケットがついていて 図面を入れるところ メジャーを入れるところと決まっていて かなり重い。

旅する時に大工道具は持ち歩くの? 持ち歩く道具はメジャーと鉛筆のみ。必要な道具は 現場で借りて仕事をする。

初めて行った国の 見知らぬ現場 使ったことのない道具で 仕事をする。想像するだけでも ワクワクするけど この修行で 身につくことは たくさんありそう。 まず度胸はつくよね。あと知恵。工夫しないと使ったことない道具は 使いこなせないし。それと大事なのがコミュニケーション能力。これがないとすぐクビになることだってあるでしょう。こうゆうことって 大工テクニックと同じくらい大事なことですよね。

 

木製のメジャーは いろんな使い方ができる。角度を測ったり。日本の大工の使っているメジャーは 不正確で不便とのこと。

 

飲み会の時に熱心に 説明してくれたのが ドイツのマイスター制度。誇りに思っているのです。彼らは三年と一日の修行の後 マイスターになるための学校に入る資格が もらえる。そこで勉強し、試験に合格して マイスターとなる。ドイツの大学院の修士(マスター)と同じレベルで 扱われ、希望すれば 大学院の博士課程(ドクターコース)に 編入可能なのです。

メジャー志望の サンタローも ニッカポッカを オーダーして 旅にでるかな?

 

 

2018年1月8日

金谷の木塀修理

本年も 焦らずにじっくり 仕事をしていこうと思っています。

以前改修した 金谷の石蔵は 金谷美術館の 別館として 美術品の展示をしています。


その敷地内にある 木塀の 痛みが激しかったので 解体修理することになりました。

古い建造物を解体する際に 気を付けることは ハンマーで ガチャガチャ壊してはいけないということ。その当時の「痕跡」がたくさんあるので それをまず 見逃さないように解体していきます。「痕跡」とは 作った職人の仕事の跡 使われた道具の跡 改造された仕事の跡 等。

今回は 石の上に作られた木塀で  石にほぞ穴が掘られていて 柱のほぞを長く伸ばして ずれ止めにしていたこと。今では アンカーボルトで 石とずれないように 固定してしまうので、その当時の 職人の仕事の仕方が わかります。

 

 

古い木塀の修理をする時に 想像力を膨らませるというか その当時に思いをはせる くらいの 余裕はほしいよね。