本間さんの家で 使われていたこのテーブルは お世辞にも勝手が良いとは言えないものでした。
このテーブルと出会ったのは8年ぐらい前で 「なんて使いにくいテーブルなんだあ」と 衝撃の出会い だったのを覚えています。
テーブルの高さは 普通のテーブルより10センチも高く 引き出しが邪魔で膝が テーブルの下に入らず、 テーブルの脚には ツナギの横棒があるので 椅子の脚が 奥まで入らないという使い難さ。
でもその時 「ぼくはこのテーブルをかっこよく直すことができる。」と 秘かに思っていました。
でも今はまだその時ではない「時が来るまで 捨てられないでね。」と心の中で祈っていたのです。
よく 捨てられずに残っていたなあ。 ありがとう。もし今回訪問して テーブルが 新しいものに 変っていたとしたら 後悔と罪悪感で苦しんだろうと思います。
僕に修理されるのを 待っていたような家具。完成形は8年前から頭の中にあるぜ。
こういう古い家具は きちんとした木組みの仕事で 作られている場合が多いので 直す方針さえ決まってしまえば 結構スムーズに進みます。
天板と下地が 蟻桟(ありざん)という 工法で 作られていたので きれいに ばらすことができました。 天板の真ん中に木を足して幅を広げようという発想も 蟻桟だから。
ボンドや釘で 接合してあると きれいにばらすことができないので 直すのが 難しくなってしまいます。
テーブルの幅を広げて 引き出しの高さを低くして膝が入るようにし、テーブルの脚のつなぎを切って 椅子が奥まで入るようにしてみました。
また 何十年か後に 修理できるように 直しておきました。