先日、夏前から計画を進めてきた丘の上の家の工事がついに始まりました.
弊社では、新築の工事を行う場合、必ず地盤調査を行い、地盤の安定度を確かめてから工事を行います。
地盤が強ければ「あー良かった」と胸を撫で下ろし、地盤が弱ければ「なんでだよっ、チクショーっ」と少しガッカリします。
地盤が弱ければ、それは地盤改良工事の必要があり、そこに予算を取られてしまうという事だからです。
さて、今回の、このお家の敷地は西側に富士山を望める小高い丘の上にあります。
一般的に山や丘になっている土地というのは、平地や海辺等に比べて地盤が強く、安定していて、地盤改良などの必要が無い事が多いです。なので、今回は地盤調査を行う時点で、「今回は平気だろ」と高を括っていました。。。余裕コイてました。。
建築計画位置の一部の土地が少し凹んでいるような場所があるのがチョット気になってはいましたが・・・
そして地盤改良の日、自分も調査に立ち会いました。地盤調査の方式はスウェーデン式サウンディング試験と言って、先端にスクリューがついた金属製のロッドを回転させながら貫入させていき、その抵抗値を計測する事で、地盤の強度を確かめる方式です。
建築物の計画位置の4隅と、中心の計5ポイントの調査を行っていきました、そのうち1ポイントが前述した凹んだ部分に位置していまして、その位置でスクリューロッドを貫入させていくと。。。。。み、みるみる入っていきます(゜o゜)回転させる必要すら無く、、少し荷重をかけるだけで羊羹に爪楊枝が刺さるぐらいの勢いでっ。。。。。。「なんだこりゃっ!」
調査の結果、その凹んだ部分は地耐力はほぼ0(ゼロ)に近い、深さ6mの大穴が開いているようなものである事が判明してしまいました。。。「なんでだよっチクショーっ。なんだよこの穴(泣)」
イメージは右図のようなものです
他の4ポイントは問題無く、むしろ良好な地盤でした。この一部分のために果たして地盤改良の必要があるのかどうか、、、地盤調査会社の考察では改良の必要あり、と判定されてしまいましたが、建物の位置を動かすなどしても、やはり改良は必要なのかどうか、一縷の望みを持って、お世話になっている構造屋さんに聞いてみると。やはり「改良は必要」との回答が返ってきました。
断面的に考えると、端的に言えば、建築物が6m程度の崖に接して建っているようなものであり、多少建物をズラしたところで、危険度は変わらないという事でした。
構造屋さんにこう言われてはもう仕方ありません。
地盤改良はお金がかかるのに、成果物は目に見えません。また地盤が沈下するというようなイメージがリアルに持ちにくいため、
「ホントにやらなくちゃダメなのかな?やらないでどうにかならないだろか?」とどうしても自分は思ってしまいます。その分の予算を建物に使えたら、あれやこれをもっと良くできるのに、、、と。
地盤に関しての経験則などもあまり無く。(不同沈下等の正確な経験側を持っている人などほとんどいないとは思いますが)やはりデータと専門家の意見に従ってやるしか無く、みんなそうやっているのでしょうが、だからこそ本当に必要なんだろうか??という葛藤を抱えながら地盤改良工事を毎度見ています。
特に今回は部分的に弱い地盤がある以外は良好な地盤であったため、この葛藤が大きいものでした。
とまあ、改良工事前までは、予算や見積もりを作成した時期の直後である事等もあり、色々考えてしまうのですが、、、地盤改良後の安心感は絶大です。。やはりやって良かった、と思うものです。これをやらないで、一抹の不安を抱えながら工事をし、竣工し、不安を抱え続けながらお客さんに引き渡し、住んでもらう。考えただけでも恐ろしいです。
色々考えた末に、やはり必要であると判ぜられた地盤改良ならば、納得もできるものです。
1つ1つ、お客さんや敷地に適した建築を志していくと、当然ですが1つとして同じものはありません。毎回違う問題が発生し、対応しなくてはいけません。それが大変だし醍醐味でもあると思います。
そんな工事がまた1つ始まりました。思考錯誤を重ね、良いものを造りたいと思います!!
目次
コメント
コメント一覧 (1件)
SECRET: 0
PASS:
いつも楽しく拝見しております。
初回から飛ばしすぎで熱いですね!ひやひやしつつも期待しております!
「羊羹に爪楊枝」、私もこれから使っていきたいと思います!
「地盤とはおみくじのようなもの」も是非お使い下さい!
不同沈下を考えると、ほんと、こればっかりは運だと思います