雑木狩り

螺旋曲線は円環を突き抜け、天界へと上昇します。

曲がった階段には曲がった屋根を被せましょう。

急迫した卵のような、黒柳徹子のたまねぎ頭のような、蒸したてアツアツの肉まんのような、柔らかな曲線の屋根を。

その時、創造は想像に逆戻りしました….プーッ。

自然物である樹木はクネクネ、ゴツゴツ、デコボコしながら天へと伸び育ち、
こちら人間の都合よく曲がっていたり、まっすぐ伸びてはいません。

それでも、出来るだけ好都合な木を求めて、
鈴木大工おススメの秋色深まる山へと雑木狩りへ出かけました。

そして、山に入って10分後、こう確信しました。

“まっすぐな木など存在しない。”と

遠くからみてまっすぐだと思い、近づいてみると、曲がりくねっていたり、
下から見上げて結構まっすぐだと思って、切り倒してみると、これまた全然まっすぐではない。

自分が立っている場所が不安定かつ急勾配で、“まっすぐ”を喪失している状態です。

しかし、不思議なもので半日も山のなかにいると、混沌とした森の中から“まっすぐらしきもの”が見えてきました。

そして、荒くれた宮本武蔵のように、手当たり次第それらしき木を切り倒し、山を縦走した後、倒木をみて、すぐにこう後悔しました。

“山の木は切るより、運ぶ方がはるかに大変である。”と

〔嶋根〕

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